図表1:1995年度の小売業売上上位25社
図表2:2011年度の小売業売上上位25社
1995年と2011年の間での日本の小売業の売上上位25社を概観すると、改めて、その変化には驚かされます。読み取れる変化のポイントについて、4つの視点で整理することが出来ます。
1.上位小売業への寡占化が進行している。
上記の上位小売業25社を合計した金額を集計してみると、1995年度の15兆6901億円に対し、2011年度は25兆8828億円と1.65倍になっています。この間、全体市場の大幅な伸張は見られない事から、この期間で、急速に上位小売業への寡占化が進んでいる事が分かります。
上記の上位小売業25社を合計した金額を集計してみると、1995年度の15兆6901億円に対し、2011年度は25兆8828億円と1.65倍になっています。この間、全体市場の大幅な伸張は見られない事から、この期間で、急速に上位小売業への寡占化が進んでいる事が分かります。
2.企業間の合併・連衡の活発化
1995年以降、特に、1997年の消費増税以降、経営破たんする企業を吸収する形での、また競争力を高める為の大手企業同士の企業間の合併・連衡が進んでいます。1995年当時の上位企業で、そのままの経営形態・母体で2011年も存続している小売業は数少ない事が分かります。
1995年以降、特に、1997年の消費増税以降、経営破たんする企業を吸収する形での、また競争力を高める為の大手企業同士の企業間の合併・連衡が進んでいます。1995年当時の上位企業で、そのままの経営形態・母体で2011年も存続している小売業は数少ない事が分かります。
3.GMSや百貨店が苦戦する一方で専門型業態が躍進している。
1995年当時の上位小売業は、GMSと百貨店で占められていましたが、2011年では家電や衣料等の専門店やドラッグストア、ホームセンター等の業態が大幅に伸張した事が分かります。一言で申し上げると、この間、GMSや百貨店の従来型の業態が苦戦する中、専門型業態が大きく躍進していることが分かります。
1995年当時の上位小売業は、GMSと百貨店で占められていましたが、2011年では家電や衣料等の専門店やドラッグストア、ホームセンター等の業態が大幅に伸張した事が分かります。一言で申し上げると、この間、GMSや百貨店の従来型の業態が苦戦する中、専門型業態が大きく躍進していることが分かります。
4.SPA(製造小売業)、価格競争力を売りにする企業の躍進
ファーストリテイリング、しまむら等のいわゆるSPA(製造小売業)業態、プライベートブランドを保有し、価格競争力を売りにする企業の躍進を見てとる事が出来ます。
以上、1995年と2011年の変化を4つの視点で整理してみました。これらのキーワードから導かれるメーカーが求められる対応とは何でしょうか?
ファーストリテイリング、しまむら等のいわゆるSPA(製造小売業)業態、プライベートブランドを保有し、価格競争力を売りにする企業の躍進を見てとる事が出来ます。
以上、1995年と2011年の変化を4つの視点で整理してみました。これらのキーワードから導かれるメーカーが求められる対応とは何でしょうか?
小売業の上位寡占化に伴い、大型化・専門化した小売業のマーケティングは格段に高度化・専門化しています。今や、日々の店舗での販売動向がタイムリーに反映されるPOSデータで売れ行きをすぐに把握出来るのは当たり前で、会員カードを保有する小売業では顧客情報を活用したチラシ以外の販促が活発になってきています。今や、チラシは、ネット上でも配信され、スマートフォンでもお客様が閲覧出来、且つ、便利なアプリで、お得な情報をお客様にお届けする事は日常化しています。
こうした変化に対して、メーカー営業が求められる対応も高度化・専門化しているといえます。一言で言うと、ブランド・商品の選択と店舗の選択の主権をもつ消費者(お客様)に対して、ブランド力・商品力を持つメーカーと集客力を持つ小売業が、お客様に対して協働で、マーケティングを実践していく為に、必要なスキルと専門性、ひいては、メーカーとしての企業力・総合力が求められていると言えます。
もはや、メーカー営業は、「自社商品を得意先に売り込む」ためには、参入カテゴリーを中心とする消費者やカテゴリー理解をベースにし、あるべき品揃えや棚割、お客様への効果的なプロモーション施策等の小売業のカテゴリーを中心とするマーケティングプランの立案・提案・実行・検証という役割を担う必要が出てきていると見ることが出来ます。
「チャネル構造の変化」、「日本の上位小売業の変化」と2回に渡り、チャネルや小売業の変化について概観してきました。次回は、「消費者の変化」について、見ていきたいと思います。