第1回目のテーマは、「チャネル構造の変化」です。
まず、実態把握を進める上で、各業界団体から発表されている、2012年のチャネル別の市場規模と対08年比の動向をを整理してみました。
図表1:チャネル年間市場規模(2012年) 単位:億円
図表2:チャネル別12年度市場規模対08年比
出典:
・ドラッグストア:日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)
2012年度日本のドラッグストア実態調査2012年度日本のドラッグストア実態調査データより
・ホームセンター:日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会公表データより
・コンビニエンスストア:日本フランチャイズチェーン協会公表データより
・通信販売:公益社団法人日本通信販売協会公表データより
・スーパー:日本チェーンストア協会公表データより
・百貨店:日本百貨店協会公表データより
ご存じのように日本の総人口は減少傾向、パイが増えない中、6業態の合計は、約43兆円
で12年市場規模の08年対比は102.9%と微増となっています。
しかしながら、チャネル毎には、①通信販売 ②CVS ③Dgs のチャネルが大きく伸張する一方で、百貨店、SMは減少している事が分かります。
食品を中心にチャネル間競争の現状を見てみると、例えば、2013年において、CVSの主力チェーンの新規出店は、1500店舗を超える勢いです。昨今のCVSは、震災以来、日配(食品・牛乳・乳製品等)等の伸びが顕著で、ミニスーパー化しています。また、Dgsにおいても、食品部門の売上構成比が50%に迫るチェーンも増加しており、こぞって、食品部門の強化を図っています。食品を中心とした市場においては、SMの持っていたパイが、CVSとDgs等に奪われているとみる事が出来ます。
また、昨今の通信販売は、従来の書籍やCD/DVDといった分野だけでなく、家電量販や 食品等にも取扱いの範囲を広げているのはご存じの通りです。例えば、身近な商品でも、ペット用品等に関しては、かつては、HCが主力チャネルでしたが、昨今では通信販売でのペット用品の伸張も顕著で、HCの構成比が減少傾向で、通信販売が大きく伸張するという
構造が色濃くなってきています。
こうしたチャネル構造の変化を考える上でのキーワードは、「商品を購入される消費者(生活者)に、どのチャネルで購入するのが便利かというチャネル選択の主導権が移っている」
という事に他なりません。必然的に、消費者(生活者)に対して、メーカーとして、
「どのチャネルでも買える」状況を作り出す事がより重要になっています。
しかし、こうした変化するチャネル構造に対しての対応は、従来、「どのチャネルでも売れてほしい」というマス型商品の対応では立ちいかなくなっているのが実情ではないでしょうか?
マーケティング的な視点で見ると、4Pの中のPLACEに関係する、「チャネル戦略」や
チャネル内での伸びているチェーンとの取組は、メーカーのマーケティングを考える上で、非常に重要な要素になってきていると言えます。また、「チャネル専用」等の、PRODUCT
にまで踏み込む必要性が高くなってきているとも言えます。
・御社のブランドは、伸びているチャネルで順調に実績を伸ばせていますか?
伸ばせていますか?
・また、こうしたチャネル戦略やキーアカウント(重点小売業)との取組内容は十分に
検討され、課題を解決出来ていますか?
という課題に対しての対応力が、メーカーのマーケティング戦略の成否、ひいては、収益に直結する時代になっていると言えそうです。
次回は、「チャネル構造の変化」に続き、「日本の上位小売業の変化」について、見ていきたいと思います。