図表1:1世帯当たり年平均1か月間の支出(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)
図表2:1世帯当たり平均所得金額の年次推移(平成24年国民生活基礎調査)
●伸びない消費、伸びない世帯年収
●二極化の定着
まず、図表1を見ると、家計調査年報によれば、1世帯当たり年平均1か月間の支出(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)は、13年では319,170円で、ここ数年は少し右肩あがりではありますが、2000年と比較すると93.4%(金額ベースで月平均▲22,726円)と、消費支出全体は落ち込んでいる事が分かります。
次に、世帯消費が伸びない大きな要因ですが、図表2の1世帯あたり平均所得金額を見ると、2000年以降、世帯あたりの平均所得は大きく下がっている事が分かります。金額ベースでは、2000年比で、68.7万円のダウン(月平均▲57,250円)となっていますので、2000年比で世帯収支は悪化している事が分かります。
また、平均所得金額は548万2千円の、1世帯あたり平均所得金額の度数分布をみると、平均所得金額以下の世帯は62.3%と平均所得以下の世帯構成が高くなっています。
この事から、昨今、世帯所得の状況は、世帯所得の二極化と合わせ、世帯所得が平均以下の方が多い構造になっている事が分かります。余談にはなりますが、こうした現在の市場環境は、「平均的な世帯像」や「平均的な消費行動」がとらえづらく、「どの層のお客様がターゲットなのか」という点が重要になってくると言えそうです。
図表3:世帯数の所得金額階級別相対度数分布
●世帯収入が伸びない中、消費支出のやりくりが進んでいる
次に、世帯消費が伸びない中、品目別の消費支出金額はどのように推移しているのでしょうか?
ここでは、対2000年の2013年の消費支出金額の対2000年比と2013年の消費支出金額をグラフ化
してみました。
図表4:支出分類別1世帯当たり年平均1か月間の支出(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)
●2000年と比較して伸張しているもの
交通・通信(120.5%) / 光熱・水道(108.4%) / 保健医療(106.4%) / 教育(104.2%)
交通・通信は、特に、自動車関連(購入・維持等)や通信費(スマートフォン等の携帯電話)の伸張によるもの。光熱・水道は、近年の電気代の値上げの影響によるもので、どれも積極的な支出で伸張しているものは少なくなっています。
●2000年と比較して落ちているもの
食料費(93.9%) / その他の消費支出(76.2%) / 教養娯楽(91.3%)/ 住居(91.1%) / 家具・家事用品(92.2%) / 被服及び履物(79.8%)
落ち込みが見られるものの中で、特に顕著なのは、その他の消費支出と被服及び履物になります。
その他の消費支出の中では、こづかいや交際費が大きく落ち込んでいます。
また、被服及び履物は、全体的に消費支出は大きく下降と、2000年以降、「不要不急」な支出に関して絞っている様子が分かります。こうした市場環境下で、第2回に触れた、大きく伸張した小売業を重ねあわせると、ファーストリテイリング、しまむら等のいわゆるSPA(製造小売業)業態が、家具ではIKEA等が元気な理由もわかります。
また、家計支出の中で、支出額が最大の食費に関しても、対2000年比で6.1%ほど、ダウンしている中で、食品スーパーやGMS、ドラッグストアやCVSも含めた業態間競争がますます激化している状況下で、価格競争はますます激化していると言えます。
以上、簡単ではありますが、消費者の世帯収入、家計消費支出の動向を見てきました。今回は、紙面も尽きましたので、次回4回目は、広告費や販促費の推移について、触れていきたいと思います。